溺愛トレード

 だけど、蝶は狭い虫かごの中でみるみるうちに衰弱していった。


『乃亜ちゃん、ごめんなさい』


 東京に帰った次の日、実乃璃は大きな瞳いっぱいに涙をためて私の家にやってきた。

 二つに折り畳まれた紫色の羽は、羽ばたくことを止めてしまい、ぴくりとも動かなかった。その隣で色鮮やかに咲いていた花と、死んでしまった紫がとても歪んでいた。


 いつも私が遊んでいる公園に行って二人で蝶の墓を作ったんだ。



 その後、何回か島に行ったけど、あの時の紫色の蝶は二度と見ることができなかった。




「乃亜、こっちに来れば?」


 体育座りしている庶民を不憫に思ったのか、瀧澤さんはもう一つのクッションを私のために置いてくれた。






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