溺愛トレード
「…………僕たちは、モナコの別荘が隣同士でした。それに、LAの家も、パリのマンション、タヒチに持ってる島もお隣さんだったなぁ。それから……」
まだあるんかい!
「まあいいや。とにかく、バカンス先で実乃璃の家族とはよく一緒に食事したりしてました。実乃璃は可愛くて、僕より五つ年下でしたし、僕には兄弟がいなかったから妹みたいだとずっと思ってました」
おかしいな。それにしても、実乃璃の口から瀧澤さんの話を聞いたことがない。
「でも、中等部にあがってから僕も人並みにスポーツをしようと部活動なんてものをたしなみまして」
おいおい、部活はたしなむもんじゃないってば。思春期のありあまる体力を非行に使わないように強制的にやらされるもんだって……
「バカンスに行く機会が減り、実乃璃とは疎遠になってました。だから、久しぶりの再会を果たした時は嬉しくて、僕はすぐに実乃璃の虜になっていた」
ああ……ブランクが空いてるのか、この人。
確かに、子ども時代の実乃璃しか知らなくて、大人になった実乃璃を見たら好きになるかもしれない。
だけど、その間(特に高校、大学時代)が大事。
超重要。