溺愛トレード

「君を愛して、僕は実乃璃に認めてもらう」


 瀧澤さんの吐息が耳にかかる。

 
「いや、それ色々おかしいですってば!」

「君の話は聞いたよ。昔、友達がいなく寂しい思いをしていら実乃璃が友達になってくれたんだろう? そこから二人の友情がはじまり、絶対の関係を築いた」


「逆だし、築いてないっ!」


「実乃璃は君をとても大切にしている。

 そんな君と付き合えと言ってきたんだ。信頼しているからこそ、僕を君に託そうとした」


 もう何を言っても無駄だ。

 逃げるが勝ちだと、身をよじらせる。

 だけど、部活動なんてものまでたしなんじゃった長身の御曹司様に勝てるわけもなく、私はそのままずるずるとソファーに押し倒されてしまう。


 外見は白馬の王子様だけど、さすが実乃璃の婚約者。ただ者ではない。


 美しいお顔と、薄い唇が眼前に迫る。

 万事休す。

 実乃璃の婚約者でさえなければ、この状況はもっと美味しいのに!



 ヤバい、ヤバい、キスだけは勘弁して!

 でも、避けられない……徹平、ごめん…………



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