溺愛トレード

 朝、オフィスに入るとまず最初に引き出しに鍵がかかっているかを無意識に確認してしまう。

 確認して後悔する。

 だって、実乃璃はどうせこのノートのことなんか綺麗さっぱり忘れてるに違いない。

 私ばかりがこのノートに囚われてる。

 こんなもん売ってしまおうかとも思うんだけど、実乃璃がお父様にお願いして、わざわざ世界に二冊しかないノートを三冊に増やしてもらったんだ。

 結局、このノートを手放すなんてできないなぁと結論づけるも朝の日課の一部。



「加瀬乃亜さん、お客様です」


 内線電話で受け付けから連絡がきた。


「すぐ行きます」と答えて、席を立つ。


 朝っぱらから誰だろう? 今日は来客の予定なかったはずなんだけどな……まさか、実乃璃だったりして。やだな、すぐに追い返してやるんだから。



 応接室に入ると、言葉を失った。


 
「乃亜! おはよう。昨日は突然、仕事があるから、なんて叫んで帰るからびっくりしたよ」

「た、た、た、瀧澤さん!」


 うわぁ……超迷惑な人物第二号昇格。



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