溺愛トレード

「うんうん、それで? 乃亜の考えを聞かせてもらおうか」

 瀧澤さんは身を乗り出し、長い足を組むとそこに肘をついて甘いマスクはにっこりと微笑む。


 私は瀧澤さんの目の前にドカッと腰をおろして、負けじと身を乗り出した。



「ですから、彼氏トレードなんてことにあなたが付き合う必要はないんですよ。私の彼も実乃璃とは昔からの友達みたいなものですから、実乃璃の取り扱いは心得てます。

 実乃璃って生物は、まず思いつきで行動していますし、それに自分中心でしか物事を捉えることができない脳みそを保持してます。それを可愛いと思う思わないは個人の自由であって、私はあなたが実乃璃を好きだとおっしゃるなら、それはそれでかまいません。

 でも、その好きな気持ちを他の誰かに移し替えるということだけは、出来ないと思うんです。ですから、今回の件は、実乃璃が飽きるまで待てばいいだけの話なんです。ややこしくしないでもらえません?」



 瀧澤さんはにっこり顔のまま、たまに相づちをうちながら耳を傾けている。


「もしかして、私の彼が実乃璃をどうにかしてしまうんじゃないかと心配でしたら、実乃璃に内緒で彼に会ってみますか? 会えば、徹平がパチンコにしか興味ない男だってことがよく理解できると思うんです。実乃璃をあなたから奪おうとは考えていないですし」


 もしかしたら、瀧澤さんは私を徹平に対する
人質にしようと思っているのかもしれない。御曹司様の策略?

 でも、徹平に限ってこの期に及んで実乃璃をどうにかしようと考える可能性は少ないと思う。


 徹平は、本当にパチンコだけが大好きなんだから……
 
 それに私たちが出会ったのもパチンコ店だった。学生時代にパチンコ店でバイトしていた私と、当時パチンコで生計をたてていた徹平。


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