溺愛トレード
瀧澤さんの手が腰を撫でて、その指は私の唇をつんと突いた。
ご、誤解されるだろうがぁ!!
瀧澤さんからは、ゴディバのいい香りがする。
「は、はなれてよ! バカッ!」
「照れなくてもいいだろう? 僕たちはそういう関係なんだ。皆にもわかってもらいたい」
「だから、そんなことに瀧澤さんは付き合わなくていいんですってば!」
一番、訳がわかんないのは、あんただっ!
「もう、はなれてよー!!」
「あはは、乃亜は可愛いな」
その美しいお顔を素手でつかんで、ぐいぐい押してみても瀧澤さんは喜ぶだけだ。
「支店長、そういうことだから。この加瀬乃亜さんは、今日からクラウンリテーリングに出向してもらいたい。いかがかな?」
支店長は、へ? と口を曲げたまま、固まり放心した。
出向……って事は、私はアン・カイエの社員としてクラウンリテーリング社で働くってこと???