溺愛トレード
素敵か、素敵じゃないか、と訊かれたら、認めよう瀧澤さんは素敵だと思う。
その外見をさることながら、今日一緒に過ごしてみて悪い人じゃないことだけはよくわかった。
「多少は強引なところあるけどね」
私が頷くと、実乃璃は悦に入る。そして、物思いふけるようにティーカップに甘いため息を吹きかける。
「プンちゃんのお墨付きもらっちゃった」
「お墨べったり付けてあげる。だから、もう結婚しちゃいなよ。彼なら間違いなく実乃璃を幸せにしてくれるって! だから、残り少ない独身生活をこんなうさぎ小屋みたいな徹平の部屋で過ごすより、夜遊びに悔いが残らないようにいっぱい遊んできたほうがいいと思う。
ついでに、プンちゃんはやめて」
実乃璃は聞いてるんだか、聞いてないんだかわからない様子で一人フワフワとした雲の上に座っている妖精みたいだ。
「そうかぁ、やっぱりプンちゃんから見ても素敵かぁ…………」
それは確かに、恋なんだと思う。
実乃璃は間違いなく瀧澤さんが好きだ。
こんな風に実乃璃がフワフワ状態になるのは、間違いなく恋をしているから。
だけど、一筋縄でいかないのが、この女の厄介なとこだ。