溺愛トレード
なおちゃんをぎゅっと抱きしめてから、徹平は「乃亜、遅くなってごめん」と笑った。
徹平のなおちゃんに対する、好き、は友人としての好きで、それをなおちゃんも理解しているんだろうけど、なおちゃんの「徹平ちゃん! あたしも大好き!」は異性に対する愛情の好きなんだ。
二人の付き合いは私と徹平の付き合いより長くて、徹平がパチンコだけで生計をたてていた時代、お金が底を尽きるとよくこの店にきて、ご飯を食べさせてもらっていたらしい。
徹平は平気で一食や二食抜くくせがあるけど、なおちゃんさそれを許さないでいてくれる。
女房みたいに献身的な愛を捧げるなおちゃんと、彼(彼女?)を友人として感謝しつつ大切にしている徹平の関係が私は好きだ。
「あ、瀧澤さん。いつも乃亜がお世話になってます」
徹平はよれよれのスーツ姿で瀧澤さんとハンドシェイクを交わす。
「いえ、彼女のおかげで毎日楽しく過ごせてますよ」
挨拶は終わり、カウンター席の左には見るも美しい御曹司様、右隣には彼氏である徹平が座る。
なんだか、居心地悪っ!
これも全部、実乃璃のせいだ。
だけど、両サイドの二人はまったく互いの存在を気にしてないのかマイペースだ。