溺愛トレード

 隣でうんうんと頷く徹平を横目に、瀧澤さんに向き直る。


「瀧澤さん……あのですね」


 ええい、同情は無用だ。

 今日は徹平と相談して、申し訳ないけど実乃璃のおふざけに付き合っているふりだけをしてください、ということを瀧澤さんに約束してもらおうと思ってる。


「何度か伝えましたけど、今回のことは実乃璃の気まぐれで約束したことですし、私と徹平はできましたら今まで通り平穏な生活に戻りたいなぁ……っていうか、瀧澤さんがいると平穏じゃないってわけじゃないんですよ? ただ、私たちも大人ですし、付き合ってる相手が違う人といるのはあまり心穏やかにはいられないって意味でして……ですから」



 美しい箸使いでお好み焼きを口に運ぶ瀧澤さんは、私の方を見ようともしない。



 一緒に過ごしてきて、この人はそれなりに仕事も一生懸命で性格もよくて生粋のおぼっちゃまで、誰に対しても優しくて、でもちょっとわがままで強引なとこがあるってことを知った。


 実乃璃の言うことになんて耳を貸さずに言い返すことだってできただろうに、嫌だ、って言うこともできたはずだ。



 私の言ってることを理解して、うんそうだね、って頷くことができる人のはずなのに…………


 優しすぎるのかもしれない。




 
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