溺愛トレード

 実乃璃は、私が徹平を運命の男だとドラマチックに選んだみたいな言い方をするけど、本当の私たちはそんなものじゃないのかもしれない。


 肺に酸素を送り込んで、汗ばんだ胸を上下させてる徹平に折り重なる。

 すぐに両腕が背中に回り、二人で寝るには狭すぎるベッドの上で目を閉じた。

 寝るときはくっついていても、大抵、朝目が覚めると徹平は床に落っこちて寝てる。


「明日、休み」

「私も……」

「そっか、じゃあ、おやすみ」

「うん」


 安心しきったのか徹平の呼吸が徐々に落ち着いて、汗もひいていく。

 脱ぎ散らかした服と下着はそのままだ。


 ふと、桐谷さんがいてくれた全部片付けておいてくれるんじゃないかという良からぬ考えが頭を通過した。







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