君の隣で~☆星空☆続編~【完】
「はい、これお金入ってるから、生活費に回してくれ」


「……」


「少ないけど、また都合つけて持ってくるから」



「……」



あたしは、守から封筒を受け取った。


離婚を決め、あたしは守から受け取ったものは



小さな命とお金………。



お金……


これで全て解決が出来るのだろうか。


辛さも悲しさも苦しみも
あたしが味わった沢山の思いが


あたしの手の中にあるお金と引き換えられた。



「足りないよ、こんなんじゃ、あたしの苦しみ足りない……」



そう笑いながら言うあたしに守は目を見開いた。



「足りないってば……こんなんで足りるかよ!!」



“やられたらやり返せばいい……”




昔よく先輩に言われた言葉を思い出した



「もっと苦しんで貰わなきゃ……」



そう笑いながら、あたしは車に乗り込んだ



「早く車だしてよ!区役所行くんでしょ?」



ただ前を向いてボーッとしている守にあたしは言った


鬼だっていい

最低な女だ



そう思われようが関係ない


あたしが味わった苦しみを守にも分けてあげるから……


そう思いながらにやついているあたしはもう、


悪魔だった……。



「ああ」



そう言いながら沈黙が走る車の中は


なんだか酸素が薄い気がした



「流奈はこれでいいのか」


「……」



「もう戻れないんだぞ」


「……」



「流奈」



あたしは一度も守に答える事はなかった



助手席から見える過ぎ去る景色だけを見ていた
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