囚われた、あなたの腕の下。

あたし、犯人に心を許そうとしてた。

まさか、犯人がアラタ君だったなんて!!

階段から落ちそうになっても、なんとか耐え、あたしは走った。


信じてたのに!

酷いっ。


とにかく逃げ出したくて、当てもなく走り、あたしは途方もなく、一人歩いていた。

午後、ほとんど人気のない道。

近くにあった簡易ベンチに腰を下ろし、うずくまるように息を整える。

もう、人が怖い。

何も持たずに、逃げたしたあたしには、喉を潤すモノもない。


カラカラに渇いた喉に、咳込んでしまう。

とめどなく、溢れる涙。

あたし、今なら干からびて死ねる。


そんな馬鹿な事を考えた。


不意に出来た影。

身体が、再び震えた。


「……愛理?」


その声に、聞き覚えがあって……顔をゆっくりとあげた。


「……と、おる」


そこには、透が立っていた。
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