囚われた、あなたの腕の下。

考えてみれば、彼と出会ってからだ。

メールが来るようになったのも。

アドレスを変えても、変えてもメールが来るのも。

写真をずっと撮れるのも。

タイミングよく、電話を鳴らせるのも。

考えだしたら、キリがない。

アラタ君を犯人と考えるなら、辻褄が合ってしまう。

携帯が、スルリと手から滑り落ちる。


「愛理さん?」


突然、触れられた肩から、嫌悪が走る。



「やぁああぁぁぁっ!」



後退りながら、あたし必死に距離をとる。


「ちょ、どーした……あ……」


彼の目が、あたしの足元の携帯に落ちる。


あたしは……這うよにして玄関を目指した。


「あーあ……」


サンダルを、足にひっかけて、あたしは外に飛び出した。
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