囚われた、あなたの腕の下。
助手席に、乗せられる。
そして、反対に回って運転席に彼は腰を下ろした。
「で?別れるなんて、いきなり言うのはなんで?」
優しく覗き込む彼の髪が、サラリと揺れる。
あたしは、勇気を持って聞いてみた。
「……この、間の……火曜日、なにしてた?」
一瞬にして、顔色の変わる彼、だけど本当に一瞬。
すぐに表情は戻り、考えるようなそぶりを見せた。
「火曜日は、残業……」
「嘘……新山さんから電話があって、大事な書類を忘れてるって言われた。だから、連絡したんだもん」
これは、事実。
みるみる固くなる表情。
それが、辛い。
そしてあたしは、彼の後ろうなじを、指差す。
「この……痕は、誰に付けられたの?」