二度目の片思い
「ふぇ……ひっく、」

「……藤咲、いい加減泣き止めって」



酔っぱらいに対しては無駄な言葉とは思いながらも、俺は自分のとなりの彼女にそう声を掛けた。

時折フラフラとよろける彼女を支えながら、俺はなんとかタクシーが拾えそうなところを探す。

……つーか、まず藤咲の家の住所教えてもらわないと。

そう考えて彼女に訊ねても、的を射ない言葉が返ってくるだけ。

俺はほとほと困り果てて、頭を抱えた。



「こ、こしだくん……」

「……はーい、越田はここにいますよ」



若干やけくそ気味で、そう答えた俺に。



「……越田、くん」

「……ッ、」



不意打ちで、ふにゃりとした笑顔を向けてくるもんだから。

──落ち着け、俺。藤咲は今酔ってる、正気じゃない……。

自分の中の煩悩を無理やりおさえつけて、俺は彼女を振り向いた。



「……とりあえず、ここにいるのもアレだし……一旦、ウチ来る? 少しは酔いを醒まさないと、帰れないだろ」

「? こしだくん……」

「………」



なんとか、下心以外の理性的な感情を持ち合わせて。

俺は、彼女を連れて自宅へと戻ったのである。
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