甘いキスは放課後に



沸きあがる拍手。おいおいおいおい……ただの全校朝会だぜ?普段の先生が可哀相だろ。


いつもならスラスラと出てくる嫌味とも呆れともとれるその言葉さえ、出てこない。拍手していないのは私だけだ。身体が動かない。中身の意識はあるのに外側が動かせないような感覚。


苦笑いをしながら拍手する隣の男子が、私の異変に気がついた。


「お?どした?」


不思議そうなその声にさえ、反応することもできない。男子は首をかしげて私から視線を逸らした。


大きく目を見開いたまま、私は呟いた。


「どうしよう……」


自分のことなのに訳が分からない。どうしろというのだ。どうすれば……?


だってこんなの初めてで。次に口にしたその言葉にも、この感情も、私自身がどう対応していいのか判断できなかった。


「……キスしたい」


……一体どうなってるんだ。今日の双子座は12位だったのか?




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