ピエモンテの風に抱かれて

「パッタリ? なによそれ。連絡先を変えても何も言ってこなかったのはリュウの方でしょう!?」



龍はひどく驚いた顔をする。



「は? なんだよそれ…、いつの話だ?」



「1年半前よ。リュウの誕生日にメールしようとして気づいたの。何回メールしても戻ってきちゃうし携帯も家の番号も繋がらなくなって。もしかしたら新しい恋人が出来て、わざと私を避けるために……」



不通になってしまった辛い日々が思い返されると鼻の奥がツンとなり目頭が熱くなる。やるせない気持ちのまま声を上擦らせながら続けた。



「避けられてるんじゃないかって、こわ、怖くて…。私こそリュウからの連絡を待ってたのに」



ずっと額に手を当てて考えこんでいた龍が、突然何かを思い出したようだった。



「俺の誕生日…、1年半前の12月? そうか、あの時だ!!」



樹里は瞳を潤わせながら首をかしげた。

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