ピエモンテの風に抱かれて
「どうして…?」
それは星を模ったホワイトゴールドのデザインリングだった。可愛らしい星の中にはダイヤモンドが輝いている。
龍はその指輪を手に取ると、沈んだ声で言った。
「本当はネックレスじゃなくて、指輪が欲しかったんだろ? ほら、つけてあげるよ」
まだ信じられない、といった顔をしている樹里の右薬指に、ゆっくりと指輪がはめられる。
「指輪が欲しいって気づいてくれてたなんて…。リュウ、嬉しい。凄く嬉しい! ありがとう」
龍は寂しげな瞳で右のテーブルに置いてあったショットグラスをわざわざ左手で取ると、それを口に持っていった。それに気づいた樹里は小さな声でたずねた。
「ね…、どうかしたの? さっきからずっと左手を使ってるわよ。何か言えないことでもあるの?」
龍はハッとしてグラスを持つ自分の手を見つめると、唇を噛み締めた。
「ハハ、この癖を最初に見抜いたのはジュリだったっけ。その通りさ…」
「リュウ?」
次の彼の言葉は消え入るようだった。
「俺も日本に行ったら、短冊に願いを書こうかな…」