ピエモンテの風に抱かれて
「アハハハハ。それじゃ真田さんは、いま激辛料理にハマってるんですね」
「そうなんです。ハバネロ、ジョロキア、何でも来いって感じですね。それにシビレの強い中国四川の山椒にも目がなくて。芸能人激辛王選手権のオファーがくれば喜んで。誰にも負けませんよ〜」
トーク番組にありがちな変哲な会話が延々と続く。期待したイタリア時代の昔話からは大きく反れ、樹里の知らない龍の近況で話は盛り上がっていた。
そしてやっと待ちに待った本題に入ってきた。
「ところで真田さんは、最近女性週刊誌を賑わせていらっしゃいましたが、本当のところはどうなんですか?」
− きた! −
樹里と飛鳥は目を見合わせた。