片恋綴
「誰か紹介して下さいよ」

真宏はロースを口に頬張りながら言った。勿論、本心ではなさそうだ。

以前、美春が真宏のことを空中浮遊する海月、と称したことがあるのだが、まさにその通りだと思う。

「あの子はどうした。一回、モデルの代理してもらった」

ふわふわとした髪と垂れ目が印象的だった女の子はどう見ても真宏を好きそうだった。そしてその子をうちのバイトの男の子が好きそうなのだ。狭いところで何とも複雑なことをしている。

「ポチちゃんは、もう俺に気はなさそうだし。それに、ああいう従順そうな子はタイプじゃないっていうか。あ、でもポチちゃんは何気に逞しい子でしたけどね」

二人の間に何があったのかは知らないが、どうにも恋人という関係には発展しないようだ。

「そうか」

真宏は聞いてもないことまで喋り、満足したように肉を食べ続けた。

そして、妙な沈黙が落ちる。

──これ以上は無理だろうよ。

俺は盛大な溜め息を吐きたいのをどうにか煙草の煙を吐き出すことで抑えた。

「美春ちゃんは、いず……佐南さんみたいな人、どう思う?」

妙な沈黙に耐えきれずか、千歳が変なことを口走った。



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