片恋綴
「死んで詫びろ」
佐南さんは俺と原崎さんを正座させ、酷く低い声でそれだけ言った。もう、返す言葉もない。それでも原崎さんはいつも通りにこにこしているだけ。
佐南さんはそれに何も言えなくなったのか、原崎さんに手渡された写真を大切そうに仕舞ってから俺の方を向いた。
……解雇宣告かもしれない。
俺は覚悟を決め、佐南さんの顔を見上げた。すると佐南さんは一台のカメラを俺に手渡してきた。
それは見るからに古いものでデジタルカメラではない。
「それやるから、好きなだけ撮れ」
そういって今度は大量のフィルムをくれた。
「現像して初めて気付けることもある」
佐南さんは優しく言い、踵を返した。何だか、凄く嬉しかった。
「気付けたの、俺のお陰ですか?」
原崎さんはにやにやと俺のわからない話を佐南さんにしたが、佐南さんは相手にせずに去っていった。
ずしりと重いカメラ。ここに俺は何を収めていけばいいんだろう。