片恋綴
「あ、ポチちゃん」
バイトの帰り道、自転車を押しながら歩いていると偶然原崎さんと会った。原崎さんは何やら大きな荷物を持っている。
「荷物、大きいですね」
私が言うと、原崎さんはでしょ、と少し面倒臭そうに返してくれた。真っ暗な夜道にそこに原崎さんがいるというだけで嬉しくて。
やっぱり好きなんだ、と実感する。だって、一目見るだけで心が高鳴るのだから。
それを好きだという以外、なんと言えばいいのだろう。
「明日の撮影に使うものなんだ」
原崎さんは私に並びながら言った。行く方向は違うというのに、こうして足を止めてくれることが嬉しくて。
「大変ですね」
こうして他愛ない会話を交わせることが嬉しくて。
私はやっぱりこの人が好きなのだと思う。私なりに好きなんだ。
だから、苦しいと思うことにも蓋をする。