片恋綴


「そんなことより、はっきりしたらどうだ?」

浩輔君が突然話を切り替えるので頭がついていかない。俺の頭にはまだ空を舞う海月がいる。それは、本当にこんな景色があるなら撮ってみたいと思える程。

――俺はカメラは構えないと決めているのに。

「……何の話?」

本当に浩輔君が何を言っているのかわからなかっただけなのだが、日頃の行いのせいかどうやらはぐらかしている思われたようだ。まあ、仕方無い。俺はそうやって生きてきた。

「千歳の話だよ。前みたいに出来ないなら会うのをやめろ、と言っているんだ」

浩輔君が低い声を更に低くして言った。

「浩輔君は千歳ちゃんの味方なわけね」

俺がわざとらしく息を吐くと、浩輔君は眉をひそめて、そういうことではない、と言った。

わかっている。これはわかっていてわざと言ったに過ぎない。




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