片恋綴
まさか、こんな小娘に恋をするはずない、と。

その理由は多分……、美春が結城の妹だから。大学時代の同期の妹に恋をする、という図式を否定したかったのだと思う。

勿論それが大した理由でないことはわかる。でも、それしかない。

結城に文句を言われるのも嫌だったし、何か認めたくなかったのだ。

──我ながらアホらしい。

というか、真宏が言う通り、逃げてるだけなのかもしれない。

この年になって、振られるのが嫌だし、この年になって、片想いをしているというのが嫌なだけだ。

そう考えると苦笑が込み上げてくる。それこそ、いい年して臆病なだけだ。

「まあ、恋愛なんて、幾つになっても臆病になるものだしな」

低い声が耳を掠める。

周りではまだ片付けの音が慌ただしく響いていて、その声を拾ったのはどうやら俺だけらしい。

「何でまだいるんだ」

俺に話し掛けたのは結城だった。結城はまだ帰っていなかったらしく、俺の視線の先を追っている。そこにいるのは紛れもなく、美春だ。

「可愛い妹が心配でな」

結城はふん、と鼻で笑う。

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