あなたのギャップにやられています
かなりの量の買い物をして再び車に乗り込むと、もう外が薄暗くなってきた。
「冴子、ちょっと付き合ってくれない?」
「えっ? いいよ。どこ?」
私ににっこり笑って見せただけで、どこだか場所を言わない木崎君は、再び巧みにハンドルを操り始めた。
街から離れて、山の方へ向かっている気がする。
ぽつぽつと点き始めた明かりも、どんどん数が少なくなっていく。
「木崎君?」
「もうちょっとで着くから」
隣に座る彼の顔も、暗闇に包まれてくる。
まさか、拉致されて……なんてことないよね?
一瞬ドキッとしたけれど、さっきのてんこ盛りの買い物を思い出して、なんとなくホッとする。
そんな悪い人じゃないのは、私が一番知っているはず。