あなたのギャップにやられています
「そうね、こけるし」
まさかなんか出そうで怖いとか、口が裂けても言えない。
そんな弱みを握られたら「へぇー、置いていかれてもいいんだ」なんてなにか要求されそうだもの。
よし。ちょっと木崎君をわかってきたぞ。
私の手をギュッと握りしめたまま、彼は細い砂利道を上がっていく。
こんなところには、なんにもないと思っていたのに……。
「えっ……」
「すごいだろ?」
目の前の景色に驚くと、彼が私の肩を抱いた。
さり気ないボディタッチ、得意だよね。
いや、今はそんなことより……。
「すごい! 降ってくる」
街中では到底見ることができないほどの数の星。
こんな夜空は初めて見た。