あなたのギャップにやられています
「ここ、あの絵を描いた場所なんだ」
あの絵……私が部屋に飾っている月夜の絵のことだ。
そういえば、まるで宝石箱をひっくり返したかのように、星がきらめいていたっけ。
「どんな小さなところでもいい。自分の好きな絵だけを好きなように並べて、いつか、個展を開きたい。
ずっとそう思ってきたけど、そんなこともうできるわけないって思ってた。
だけど、冴子があの絵を大切にしてくれているのを見て、できるかもしれないって」
「できるよ!」
私は思わず声を上げた。
「できるよ。だって木崎君の絵、本当に素敵だもん。
私あの絵をもらったとき、どうしてかわからないけど勝手に涙が溢れたの」
あの月夜の絵を持ち帰った時、リビングのテーブルの上にそれを置いて眺めていると、無性に泣きたくなったんだ。