あなたのギャップにやられています
つけ入る隙もない。完敗、だ。
彼は私の男だなんて軽々しく口にできないほど、完全な負けを認めるしかなかった。
自分のふがいなさと、あまりにひどすぎる裏切りに、泣くことすらできない。
自分の部屋に帰った私は、彼へのプレゼントに買ったネクタイを切り刻んでゴミ箱に放り投げた。
今思えば、相当怖い。
デザイン部でなんの才能もなかった私が焦り始めたのは、この頃からだ。
デザインする人以外にも事務仕事をする人がいるのはわかる。
そもそも私がデザイン部に配属されたのは、事務をするためなのだし。
だけど、私だって他の人と同じように仕事ができるはずだと強く思い始めたのは、彼とのことがあったからだ。
彼の奥さんになったあの女(ひと)に負けたくなかった。