あなたのギャップにやられています

「ほら、ため息漏らして」


耳元で囁く彼に目を見開いて首を振る。


「む、無理よ。そんなこと」


私も小声でそう言うと、眉間にしわを寄せた彼は小さく「チッ」と舌打ちした。
あれ……また、怒られてます?


「無理じゃない。できないなら本当にキスするけど?」


なに言ってるの? 
慌てて小刻みに首を振ると、私の耳に唇を近づける。


「ほら、気だるい感じで。俺のことは、雅斗(まさと)って呼んで」


それでも首をブンブン振って拒否していると、彼が私の顎に手をかけるから焦ってしまう。


「早く」

「あっ……ん」


私、顔真っ赤だよ、多分。

こんなこと、アレの時じゃないのに素面で言うなんて、拷問だから!


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