あなたのギャップにやられています
「ど、どうぞ」
「ありがと」
彼の前に差し出したコーヒーは、すぐに彼の口へと運ばれる。
「冴子、コーヒー好きだろ? 飲まないのか?」
「えっと……」
それどころじゃないんだけど、とりあえずカップを口に運ぶ。
「あつっ」
「ほら、気を付けないと」
そう言いながら、無駄に長い指で私の唇に触れる。
「大丈夫? やけどしてない?」
「しっ、してない!」
思わずのけぞってその手から逃れると、心臓のドキドキ感が半端ない。
息が止まりそうだよ。
「それで……」
「それで……」
彼の言葉を復唱するのは、きっと余裕のない証拠。
「さっきの返事、くれる?」
返事?
返事って、あれは本気で?