あなたのギャップにやられています

「ほら行った」


シッシッと犬でも追い払うように私を追い出す百合ちゃんに圧倒されて、なにも言えずに雅斗のところへ向かう。


「百合ちゃん、なんだって?」

「えーっと」


三人でなんて口が裂けても言えません。


「それより雅斗、お疲れさま。また新しい仕事入ったの?」

「あ、うん」


なんだか彼の歯切れが悪いのが気になったけれど、その時は、疲れているんだ位にしか思わなかった。



雅斗のビートルに乗って帰宅すると、彼の鞄が玄関に置きっぱなしだった。
帰ってきてすぐに迎えに来てくれたんだね。


「雅斗、疲れたでしょー」


靴を脱ぎながら振り向くと、腕を強く引かれていつの間にか彼の腕の中に閉じ込められていた。


「雅斗?」

「ちょっと、こうしてていい?」

「うん。いいけど……」


カタンとパンプスが転がるのも気にせず、彼は私を一層強く抱き寄せた。

なんだかいつもの彼とは違う。
サカッてるなら、今ごろキスされてるし。

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