あなたのギャップにやられています

「木崎さん、いらっしゃい。今日も待ち合わせ?」

「いえ。雅斗、今日は出張なんです。カウンターいいですか?」

「もちろん」


マスターに大好物の牛ホホ肉のビーフシチューを頼んだあと、店の奥の方に視線を向けたけれど、見当たらない。
そう、百合ちゃんが。

もう百合ちゃんは、私のカウンセラーだわ。


百合ちゃんに話を聞いてもらうと、なんだか気持ちの整理がついて、次のステップに進める。
自信がない行動も、彼女、いや彼? に後押ししてもらえると、勇気が出るのが不思議だ。

でも、いないのか。
今日はすごく会いたかったのに。


「お待たせ。百合ちゃん?」

「はい。今日は来ないのかな?」

「遅番かもね。会いたいなら、店教えてあげるよ」


そんなこんなで、オネェの出待ちをすることになった私は、シチューをすっかり食べつくすと、マスターに聞いた雑居ビルの前の歩道で待つことにした。

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