あなたのギャップにやられています
「ちょっと、降ろしてよ」
「ダーメ。逃げるから」
「どこに行くの?」
「どこって、抱きつくほうだろ?」
さっきのあれは、やっぱり夢じゃなかったんだ。
私を抱きかかえながらヒョイッとドアを軽々開けた彼は、ベッドに私をそーっと降ろしてくれる。
木崎くんの体温で温められているベッドが、少し冷えてしまった私には心地よかった。
彼はすぐに隣に入ってきて、ふたりで使うには小さすぎる布団で私を一緒にくるんでしまう。
近い、近すぎるよ!
だって、彼の髪が私の頬に触れるほどの距離に彼がいるんだもの。
「冴子、冷えてるじゃないか」
だけど、そんなことも気にしていない様子の木崎君は、私の冷えた手をとって、両手で挟んでくれる。
「木崎くん、温かいね」
「おぉ」
彼の手は、本当に温かかった。
いつも4Bの鉛筆を握って、手のひらを真っ黒にしている彼の手が、こんなに温かかったなんて知らなかった。