あなたのギャップにやられています

「だけど、仕事は完璧ですって。あんなにじろじろ見ていたら、不審者ですよ」


えー!! 
部長、一体どんな紹介してるのよ。
というか、初老の男性がお客で、この人がオーナーだったの!
意外すぎて、あっけにとられている私に、堀川さんはソファを勧めた。


「木崎さんはすごく絵がお好きだとか」

私の正面に座った堀川さんに見つめられてドキドキする。
そんなに見ないでほしい。
こんなことになるんだったら、もっと完璧にメイクしてこればよかった。

私……どうしてこんなに舞い上がっているんだろう。
あんな記事を読んでも、成功してもう遠いところにいる雅斗を忘れなくちゃって必死なのかもしれない。


「確かに……絵は好きですが、全然知識もありませんし、見る専門です。
それに、なにがいいのかなんてわかりませんし……」

「なにがいいのかなんて、人それぞれですよ。
その絵に込められている思いが伝わるかどうかは、受け取る側の気持ちだってあります。
だからその人にとってビビッとくる絵が、その人にとっての名画なんです」


私は堀川さんの言葉を聞きながら、雅斗のインタビュー記事を思い出していた。

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