あなたのギャップにやられています

『審査員の好みにたまたまあっただけですから』


雅斗の言いたいことはそういうことなのかもしれない。
ずっと『世の中の人全員に理解してもらわなくたっていいんだ。たったひとりでも……』と言っていた彼は、そういう考えの持ち主なのだ。

だからおそらく、賞を取った今でも、おごり高ぶることなく謙虚に絵筆を動かしている気がするのだ。


ちょっと覗きに来るだけのつもりだったのに、一気に堀川さんの人柄に引き込まれている。
まぁ、顔も大事な要素だということは否定できないけれど。


そして、私の気持ちがすごい勢いで傾いたのは、驚くものを目にしたからだ。


「堀川さん、あの……机の上のあの絵……」

「あぁ、これですか。
この絵は以前に行ったカフェレストランで売られていたものなんです。
一目で気に入ってすぐに購入しました。
サイズも小さいですし、個人的にすごく気に入っていて売りたくないので、こうして自分の机の上に」


私はその言葉を聞いて、イーイマージュを辞める決心をした。
いや、ここで働く決心だ。

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