あなたのギャップにやられています

それから部長と、イギリスでの生活の話をした。

仲間にも恵まれて、とても楽しかったということや、やっぱり食事は和食がいいということや……。
冴子が気に入ってくれた、出汁をしっかり取った味噌汁を思い浮かべて、やっぱり住み慣れた土地が一番だと感じながら。


『木崎、雑誌に載っていた写真では、少し痩せたように思えたが……食事が合わなかったのか?』

「えぇ、やっぱり和食が一番ですね」

『そうだな』


和食が恋しかったのは本当だ。
だけど、それ以上に、俺の食欲を減退させたのは、冴子の笑い声がないことだった。

ひとり暮らしが長くて慣れていたはずなのに、冴子のいない食卓は、寂しすぎたのだ。


冴子の笑顔のために作っていたオムレツを、イギリスでも作ってみたけど、特別美味しいとは思えなかった。




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