あなたのギャップにやられています
タクシーが駐車場につくと、珍しくもう一台停まっている。
運転手が休憩でもしているのかもしれない。
相変わらず舗装されていなくてガタガタの坂を上がっていく。
冴子はいつも、転びそうになっていたななんて思い出して、クスッとひとりで笑ってしまった。
やがてブナの木が見えてくると、その下で人影が動いた気がして少し驚く。
こんな時間に誰かいるなんてと思ったけれど、その人が発した声に、足が止まった。
「雅斗、私もあなたに出会えたこと、ちっとも無駄じゃなかったよ」
冴子、だ。
冴子がここに来ていたなんて予想外だ。
暗い時間はダメだと言っておいただろうなんて思ったのは、多分いきなりマックスになった自分の気持ちを落ち着けるためだ。