あなたのギャップにやられています

しかも冴子が口にしたセリフに、俺は泣きそうになった。
まだ俺のことを待っていてくれるんだって、確信が持てたから。


後ろからそっと近付くと「最悪」なんて言葉をつぶやいた冴子。
「なにが最悪?」だなんて思わず声が出ると、突然彼女は逃げ出した。


まったく、ちっとも変ってない。
あの頃と、ちっとも。

だけど、それがかえってうれしい。


ダッシュで走り出した上に、「変態!」ってさ……。
だけど必死に逃げようとする冴子が、おかしくてたまらない。

そうだ。
俺じゃなかったら、危なかったんだぞ。お仕置きだ。


逃げ惑う冴子を追いかけていたけれど、目の前で彼女の姿が消えた。
危ない。やっぱり彼女は、転んでしまった。


「落ち着け、冴子」


あまりの慌てっぷりに思わずそう言うと、彼女の動きが一瞬止まる。

< 667 / 672 >

この作品をシェア

pagetop