あなたのギャップにやられています

「私も、ずっと好きな男はいる」


冴子が俺の瞳をじっと見つめながらそう言ったとき、全身の力が抜けて行った。

冴子はずっと俺の女だ。
今までも、これからも。

日本にいたころの少々無茶な自分が顔をのぞかせる。
それはきっと、リラックスしている証拠なのだけど。


冴子の瞳から涙が零れ落ちたとわかった俺は、彼女が"好きだ"と言ってくれる絵を描き続けていきたいと心から思った。

彼女は最初から俺の理解者で、おそらくこれからもずっと、そうなのだろう。


イギリスに行って賞をもらっても、結局、一番大切な部分の気持ちは変わらなかった。

売れる絵をバリバリ描きたかったわけじゃない。
描きたいものをかいて、結果売れれば最高だ。

そして、賞をもらった今、それがほんの少し可能になったこともわかっていた。

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