あなたのギャップにやられています

彼の私服を初めて見た。
細いブラックジーンズを履くと、足の長さが際立って見える。


どう見ても華奢な彼だけど、脱ぐと……。
脱ぐとって……シャワーの後の彼を思い出して、ひとりでドキドキしている私って、やっぱり変態?


「さぁ、行こうか。コート忘れないで」

「う、うん」


当たり前のように差し出された手を握ると、グイッと強い力で引っ張られる。


「冴子、どこでもいい?」

「うん、任せる」


どこがいい? なんて聞かれても、最近デートというものをした覚えのない私は、流行りのスポットなんて知らなくて。


「まずはブランチ」


彼の車は黄色いビートル。
うん、ここは私のイメージの木崎君とぴったりだ。


だけど……驚いた。
運転がびっくりするくらい上手いのだ。


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