あなたのギャップにやられています
木崎君、彼女いないのかな。
だって、モテそうだし。
そんなことをぼーっと考えながら窓を見ていると、窓に映る木崎君の視線が、私の方に向いていることに気が付いた。
な、なに?
なにも言わないけれど、木崎君は私を見つめて視線を外さない。
私が反射した窓越しに、その様子に気が付いていることを知りもしないで。
なんだか気まずくなって俯いていると、電車は彼が降りるはずの駅に滑り込んだ。
「木崎くん、ほんとにいいの?」
「もちろんです。
冴子さんひとりで夜道を歩かせるなんてできませんよ、俺」
「そ、そう?」
そんな男らしい言葉を言ったところで、木崎君は木崎君だ。
もしも誰かに襲われても彼なら大丈夫という安心感がまるでないのが皮肉だけど。