あなたのギャップにやられています
「映画でも行こうか。時間、あるし」
「うん」
それから私たちは、デートの王道といえる恋愛映画を見た。
映画を木崎君に任せたら恋愛映画だったわけだけれど、なかなかいいチョイスだった。
途中、擦れ違うふたりに悶々とし、やっと気持ちが通じても様々な障害が立ちふさがるふたりを見てこっそり涙を流していると、隣の彼が無造作にそれを手でぬぐってくれる。
そして、ギュッと握られた手から彼の温もりが伝わってきて、なんとなく安心してそれからも泣いた。
「思った通り」
「え?」
「冴子って感情豊かだね。そんなところも好きだ」
突然の告白に、またたじろぐ私。
不意打ちが多すぎるよ、あなたは。