ブラッディ トゥ ナイト

文月は半開きの目で辺りを見回し、体が動かないのに気付いて、自分の体を見下ろす。

「えっ……!?」

見覚えがあるからだろう、顔が一気に青白くなった。

文月がようやく顔を上げ、僕らを見た。

瞬間、僕は弦を放す。

僕はこの瞬間を待っていたのだ。

勢い良く放たれた矢は真っ直ぐ文月に襲い掛かり、一瞬の間に額に刺さった。

ぐしゃっという音が後から聞こえた気がした。

「ふぅ……」

終わったと僕も火茂瀬も肩の力を抜く。

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