蕾は未だに咲かないⅠ


彼は好きでもない女を抱いたって何とも思わないらしい。感想も全く無し。


あたしは少し軽蔑の感情が浮かんできたけれど、差し出したのはあたしであって、あたしの方が軽蔑される対象という事を思い出した。

携帯を握り締め、立ち上がる。


「…さようなら。」


お礼を言わなかったのは、最後のプライド。


輔さんは此方を見ずに片手を上げ、それをひらひらと揺らすと「さよなら」と楽しそうに返した。


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