蕾は未だに咲かないⅠ


「後ろ向いて」


静かな、落ち着いた声が響く。和室だからか、反響する事もなかった。

あたしが後ろを向くと、小さく畳が軋む。ゆっくりと、目線を彼から剥がした。


しばらくして、彼は「うん」と明るく声を発する。


「さすがにまだか。けど、ちゃんと治ってきてるよ。ありがとうね。」


あたしはまた振り返り、何の返事もすることなく床に脱ぎ捨てた衣服に手を伸ばす。

そして、その腕を捕まえられた。


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