Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「DVD好きなのって、彼女さんの方だったんですね。」

「うん……」

「だからあんなに、熱心に……」


止せばいいのに、墓穴を掘り続ける私。

でも泣けない。

これは仕事。

小宮山さんの対応は、仕事上のこと。


「その事で、君に礼を言わなきゃ、俺。」

「お礼?」

少し高い場所からの、斜め目線。

私が小宮山さんを見つめる、最高の角度。

「君が相談に乗ってくれたお陰で、俺、今の彼女と付き合えるようになったんだよ。」

そう言って、少しだけ笑顔になった小宮山さん。

「ありがとな。」

声を出したら、涙がこぼれそうだったから、その変わり激しく首を横に振った。

それを見た小宮山さんは、『またな。』と言って、私の頭の上をグリグリと撫でて行く。


その日の夜、遅番だった私は、夜10:00に職場を後にした。

私を社員にすると、すっかりはりきっている店長は、連休に入る私に、10数枚もDVDを渡してきた。
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