Be yourself!
人込みに押されながら、後ずさる私だけど、それ以上近づくのはちょっとだけ我慢した。
ていうか当然だよね。
御子柴さんは、今をときめく【赤と黒の蜘蛛】の主宰で、超売れっ子なんだもん。
機会があるのならやっぱり話してみたいだろうし。うんうん。
なんて納得していると、
「――藍田さん」
後ろから肩を叩かれて、振り返ってみれば有田さんだった。
人込みから抜け出てきたのか、首に巻いたタオルで額の汗をぬぐっている。
「御子柴さんから伝言」
「え?」
「っていうかお願い、かな?」
――――……