想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
―――朝。


「ふぁ―――――……。」


昨日までとは、違う。


なんだかスッキリしてる。


ずっと胸にあったモヤモヤが……


取れたみたい。





ふと隣を見ると……


夜中、事を終えて寄り添って寝たはずの


木下サンの姿が、無い。


どこ?


リビング?


あたしはリビングへ行こうと思い、立ち上がろうとした。


すると……



「……はい……はい、すみません。お願いします。」


ん?


電話中……かな?


あたしは、リビングに行って良いのかわからず、ベッドの上で、一人で膝を抱えて座っていた。





――カチャ


「お。起きたか?」


木下サンが、寝室に戻って来た。


「はい!おはようございます。」


「はよ。ちゃんと寝れたか?」


あ。


木下サン、昨日より喉の調子、良さそう。


「はい!木下サン……調子、どうですか?」


あたしがそう聞くと、木下サンは喉に手を当てて……


「ああ、昨日より、よっぽど良いよ。

今、会社に電話して休ませてもらう事にした。
一応、な。」


あぁ。


さっき、会社に電話してたんだ。


リビングに行かなくて正解だったね。


「そうですか……じゃ、今日はゆっくり休んでくださいね?」


良かった。


良くなってくれて……。


「おう。ありがとな。」


前に、北川サンに聞いた事ある。


風邪ひいたりした時は、仕事が出来そうだと思っても


大事な行事を控えてるお客様に、移ったりしたら大変だから


シフトに余裕があれば、休む事も大事だって。



さて、と。


帰ろう……。


「木下サン、洗面所借りますね。」


あたしはベッドから立ち上がり、洗面所の方へ向かった。





< 221 / 320 >

この作品をシェア

pagetop