夜香花
「……お前なぁ」
そのときにはすでに、真砂は茂みを覗き込んでいる。
蹲った深成が、額を押さえて恨めしそうに真砂を見上げた。
「石投げつけるなんて、危ないじゃないか!」
がばっと立ち上がり、深成は真砂に食って掛かった。
「苦無を投げつけるよりも、随分と優しい攻撃だと思うがな」
呆れ気味に言う真砂にも、深成は怯まない。
涙の溜まった目で、真砂を睨んでいる。
「何だよ、その目は」
真砂は深成の額を、こつんと殴った。
力は込めていないが、石が当たったであろう、赤くなっている部分を、指の関節で小突いたので、深成は息を呑んでよろめいた。
涙がこぼれる。
「いいいいいいっ……!! この馬鹿っ!!!」
駄々っ子が泣き叫ぶように怒鳴ると、深成は泣きながら駆け去っていった。
「……何だぁ、あいつ……」
ぽかんと口を開けてやり取りを見ていた清五郎が、心底呆れた声を出した。
そして、ふと真砂を見て、ぎょっとする。
そのときにはすでに、真砂は茂みを覗き込んでいる。
蹲った深成が、額を押さえて恨めしそうに真砂を見上げた。
「石投げつけるなんて、危ないじゃないか!」
がばっと立ち上がり、深成は真砂に食って掛かった。
「苦無を投げつけるよりも、随分と優しい攻撃だと思うがな」
呆れ気味に言う真砂にも、深成は怯まない。
涙の溜まった目で、真砂を睨んでいる。
「何だよ、その目は」
真砂は深成の額を、こつんと殴った。
力は込めていないが、石が当たったであろう、赤くなっている部分を、指の関節で小突いたので、深成は息を呑んでよろめいた。
涙がこぼれる。
「いいいいいいっ……!! この馬鹿っ!!!」
駄々っ子が泣き叫ぶように怒鳴ると、深成は泣きながら駆け去っていった。
「……何だぁ、あいつ……」
ぽかんと口を開けてやり取りを見ていた清五郎が、心底呆れた声を出した。
そして、ふと真砂を見て、ぎょっとする。