鬼上司のとろ甘な溺愛


課長の車の中はゆったりと広く、芳香剤とは違う香水のようなふわっと甘い香りがした。
嫌な香りではない。むしろどちらかと言えば好きな香りだし、ホッとする。


「家近いんだろ。道教えろ」
「あの、課長……」
「あ? コンビニの目の前だなんて言うなよ」


ナビをいじっていた神林課長に話しかける。


「いえ、どうして私が泣きそうって思ったんですか?」


気持ちは沈んでいたが、そんなに顔に出ていたなんて思わなかった。
課長に会ったとき、それでも表情を引き締めたつもりだったのだが。
このひとはあっさりと泣きそうだと言った。


「いつもの雪村の顔とは違うから。今にも泣きそう」
「課長……」


神林はそう即答してナビをいじるのを止めて顔をあげこちらを見た。
車の中のせいか、思わぬ近さに一瞬、ドキッとする。
そして、神林課長の表情にも。


「何かあったのか?」


ずるい。そう思った。
いつも部下に厳しい課長。怒鳴っているか、険しい顔しか見たことない。
その課長に、そんな優しい声と気遣うような優しい表情で言われるなんて想像もしなかった。
まさかの不意打ちに、いつのまにか自然と涙を流していた。











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